アラームが鳴っているのに、布団から出られない。あと5分、と思ううちに時間が過ぎてしまう。冬になると、そんな朝が増える人は少なくありません。これは意志が弱いからではなく、冬の朝には起きにくい条件がそろっているからです。
この記事では、「朝、起きる場面」に絞って、冬の朝に起きられなくなる3つのパターンと分かれ道、立場別の考え方、前夜から始めるチェックリストを紹介します。朝の光の浴び方は日光と気分の関係、冬の気分の落ち込みそのものは冬季うつの完全ガイドで詳しく扱っています。
冬の朝が起きにくい理由
ひとつは、暗さです。冬は日の出が遅く、起きる時刻になってもまだ外が暗い日があります。体内時計は光と暗さの影響を最も強く受け、夜には脳が光の量に応じてメラトニンという眠気のホルモンを増やします。朝が暗いと、体が「まだ夜」と受け取りやすく、目覚めの合図が弱くなります。
※出典:Circadian Rhythms(米国国立一般医科学研究所 NIGMS)
もうひとつは、寒さです。暖かい布団の中と冷えた部屋との落差が大きいほど、体は出ることをためらいます。さらに、夜更かしや睡眠不足が重なれば、朝のつらさは一段と強くなります。年代ごとの睡眠の目安は、厚生労働省の睡眠対策のページにまとまっています。
冬の朝に起きられなくなる3つのパターンと分かれ道
同じ寒い朝でも、スッと起きられる人と、毎朝苦戦する人がいます。差が出やすいのは、起きる瞬間の工夫の有無です。
パターン1:アラームを止め続けて、二度寝を重ねる
何度も止めては寝直すうちに、かえって起きるのがおっくうになり、最後は慌てて飛び起きる朝になりがちです。分かれ道は「起きる動作を、最初の一手まで小さくする」こと。1回目のアラームでは「布団の中で手足を動かす」だけ、次に「上半身を起こす」、最後に「座る」と三段階に分けると、起きる心理的な負担が軽くなります。
パターン2:気合いで起きようとして、起きられない自分を責める
朝の自分の意志だけに頼ると、起きられなかった日に「だらしない」と落ち込み、気持ちまで重くなります。分かれ道は「朝の意志ではなく、前夜の仕込みに任せる」こと。暖房のタイマー、枕元の上着、少し開けたカーテンなど、起きやすい環境は前の晩につくれます。
パターン3:休日に昼まで寝て、睡眠の帳尻を合わせる
平日の寝不足を休日の寝だめで取り返そうとすると、起きる時刻が大きくずれ、月曜の朝がさらにつらくなりがちです。分かれ道は「休日も、起床時刻のずれを小さくする」こと。平日との差を1〜2時間程度に抑え、足りない分は昼間の短い休憩で補いましょう。
立場別・朝のつまずきの見方
中高生・学生
朝はめまいや頭痛、気分の悪さが強く、午後になると楽になる。そうした状態が続くときは、怠けではなく、起立性調節障害など体の不調が関わっている場合があります。叱る前に、小児科や内科で相談してみましょう。
社会人
出勤時刻から逆算して、朝の支度の数を減らすのが近道です。服や持ち物を前夜に決めておくだけで、朝の判断は減り、布団を出るまでの心の負担が軽くなります。
家族を起こす側(保護者など)
強く急かすほど、本人は布団にもぐりたくなるものです。まず部屋を明るくし、短い声かけにとどめましょう。起きられたら、その一歩を認める言葉をかけると、翌朝につながります。
朝だけでなく日中も強い眠気が続く、気分の落ち込みや意欲の低下、食欲の変化が2週間以上続く場合は、気の持ちようと決めつけず、医療機関に相談してください。公的な相談先は、こころの耳「相談窓口案内」から探せます。
冬の朝を起きやすくするチェックリスト
起きる瞬間から逆算して、前夜から整えておきましょう。
【前夜】
- 暖房のタイマーを、起床の少し前に入るよう設定する
- 上着や靴下を、枕元に出しておく
- 翌朝の服・持ち物を決めておく
- 寝る直前のスマートフォンを控える
【目覚めてすぐ(布団の中)】
- 手足の指をぐっぱーと動かす
- 上半身だけ起こし、上着を羽織る
- カーテンを開けて、外の明るさを目に入れる
【起きて10分以内】
- 常温か温かい飲み物を一杯飲む
- 窓際やベランダなど、明るい場所に立つ
- できたことを一つ、頭の中で確認する
まとめ
- 冬の朝は、暗さと寒さで起きにくい条件がそろう。意志の弱さではない
- 分かれ道は「最初の一手まで小さくする」「前夜に仕込む」「休日もずれを小さくする」こと
- 立場に合わせて、朝の負担そのものを減らす
- 強い眠気や落ち込みが2週間以上続くときは、医療機関へ
まずは今夜、枕元に上着を一枚出しておくことから始めてみてください。
