1点取られ、続けて2点、3点。気づけばスコアが開いている——バレーボールでは、連続失点の場面で「どうして止まらないのか」と焦る人が少なくありません。流れの大切さはバレーボールのメンタルトレーニングでも触れていますが、この記事では一歩踏み込み、連続失点が起きる仕組みと、個人・チームそれぞれの立て直し方に絞って整理します。
空回りの3パターンと分かれ道、立場別のポイント、チェックリストの順に紹介します。
連続失点が止まらなくなる仕組み
失点が続く背景には、技術の差だけでなく「心の連鎖」があります。ミスが出る、「また失点した」と焦る、視野が狭くなって動き出しが遅れる、次のミスが出る。この連鎖は一人から始まり、周りへ広がっていきます。
大切なのは、連鎖をどこか一か所で止めることです。全部を直そうとせず「次の1プレーだけを変える」と決めると、出発点が定まります。自分への声かけが競技のパフォーマンスにプラスに働くことは、複数の研究を統合した分析でも示されています。
※出典:Self-Talk and Sports Performance: A Meta-Analysis (Hatzigeorgiadis et al., 2011) – PubMed
流れが悪い時に空回りする3つのパターンと分かれ道
同じ連続失点でも、立て直せるチームと、さらに崩れるチームがあります。差が出るのは、点を取られた「直後の反応」です。
パターン1:1点を取り返そうとして、一人で大きく動く
流れを変えたい気持ちが強いあまり、普段より強く打つ、無理な体勢で拾いにいくなど、ひとりで状況を動かそうとする人がいます。結果として次のミスを呼びがちです。分かれ道は「取り返すのではなく、次の1本を丁寧に処理する」こと。1点を一度に取り返す必要はなく、目の前のプレーを確実に返すことが、結果的に流れを戻します。
パターン2:原因探しが始まり、コートの空気が重くなる
「今のは誰が」「どうして」と原因を探し始めると、責められた人は萎縮し、周りも声を出しにくくなります。分かれ道は「原因探しは試合後に回し、試合中は次の行動だけを話す」こと。振り返りは冷静になれる時間に行うほうが、的確な修正につながります。
パターン3:指示や注意が増えすぎて、何をすればいいか分からなくなる
タイムアウトで「あれもこれも」と伝えられ、再開後にどれを意識すればよいか分からなくなるパターンです。分かれ道は「再開後に意識することを一つに絞る」こと。「サーブレシーブの1本目を高く返す」など、すぐ実行できる内容にすると動きやすくなります。
立場別・立て直しのポイント
コートに立つ選手
失点の直後は、深呼吸を一回して、視線を上げ、次のプレーの最初の動作を言葉にします。「構える」「声を出す」など小さな動作で十分です。ミスをした本人は特に自分を責めやすいので、周りの短い声かけが支えになります。チームの司令塔が焦るとその空気は全体に伝わりやすいため、セッターの視点はセッターのメンタルも参考になります。
キャプテン・リーダー
連続失点の時こそ、表情と声の調子を保つ役割があります。励ましだけでなく、「次はこれだけやろう」と行動を一つ示すと、チームが同じ方向を向けます。
ベンチ・控えの選手
ベンチは、コートの外から流れを見られる場所です。声を出し続けること、相手の動きの傾向を気づいた範囲で伝えることは、立派な貢献になります。逆転を許したくない場面の考え方は逆転負けを防ぐためのメンタル術、終盤の緊張は接戦・マッチポイントで固くならない方法でも整理しています。
連続失点の立て直しチェックリスト
流れが悪い時は判断力が落ちます。あらかじめ「やること」を決めておくと、迷わずに動けます。
【1〜2点続けて取られた直後】
- 深呼吸を一回して、視線を上げる
- 「次の1本」とだけ声に出す
- ミスした仲間には、理由を言わず短く声をかける
【3点以上続いた時・タイムアウト中】
- 水分をとり、一度腰を下ろして呼吸を整える
- 伝えることを一つに絞る(増やさない)
- 責める言葉ではなく、行動の言葉で話す
【再開直前】
- 決めた「一つのこと」を全員で確認する
- 最初の1本は、強さより確実さを選ぶ
- 円陣やハイタッチなど、声を合わせる動作をする
【普段の練習で】
- 0対3など、リードされた状態から始めるゲーム形式を取り入れる
- チームの「立て直しの合言葉」を決めておく
- 振り返りは試合後に、人ではなく状況について話す
連続失点や自分のミスが怖くて、練習や試合に向かうこと自体がつらい状態が続く場合は、一人で抱え込まず、顧問・コーチ・家族に話してみてください。眠れない、食欲が落ちるなど日常に影響が出ているときは、公的な相談窓口や医療機関も選択肢です。窓口はこころの耳「相談窓口案内」から探せます。
まとめ
- 連続失点は、ミス・焦り・視野の狭まりが連鎖して起きる
- 分かれ道は、取り返そうとしない・原因探しを後に回す・意識することを一つに絞る
- 選手・キャプテン・ベンチ、立場ごとにできることがある
- 練習のうちから、立て直しの手順を決めておく
流れを一気に変える特別な方法はありません。次の1本を確実に返すことの積み重ねが、崩れにくいチームをつくります。

