「イメージトレーニングが大事と聞いてやってみたけど、映像がぼんやりして浮かばない」「集中が続かず、効果を感じない」——イメトレを始めたものの、うまくできずに悩む人は少なくありません。でも、それは失敗ではなく、ほとんどの人が最初に通る道です。コツをつかめば、少しずつできるようになります。
この記事では、イメージトレーニングがうまくできない原因と、その対処法を紹介します。やり方の基本はイメージトレーニングのやり方もどうぞ。
イメージが「浮かばない」3つのパターンと分かれ道
同じようにイメトレに取り組んでも、早く感覚をつかめる人と、なかなか浮かばずに諦めてしまう人がいます。差が出やすいのは、才能ではなく取り組み方です。イメトレでよく見られるつまずきのパターンと、その分かれ道を確認しておきましょう。
パターン1:最初から「映画のような鮮明な映像」を求める
初回から隅々まではっきり見えることを期待すると、ぼんやりした感覚しか得られず「向いていない」と諦めがちです。分かれ道は「輪郭がぼやけていても進める」こと。うっすらとした感覚でも、繰り返すうちに徐々に鮮明になっていきます。
パターン2:静かな場所と時間を確保できず後回しにする
「ちゃんと集中できる環境がないとできない」と考えて、結局いつまでも始められない人もいます。分かれ道は「移動中や休憩の合間の短い時間でも始める」こと。短時間の積み重ねのほうが、長時間・低頻度より習慣として定着します。
パターン3:失敗した場面ばかり思い出してしまう
不安が強いと、頭の中で描くイメージがついミスの場面になりがちです。失敗のイメージを繰り返すと、かえって本番でその通りに動きやすくなります。分かれ道は「うまくいった場面から描き始める」こと。成功のイメージに慣れてから、苦手な場面に取り組みましょう。
イメトレは「できて当たり前」ではない
まず知っておきたいのは、鮮明なイメージは、練習して少しずつ描けるようになるものだということ。頭の中で動作を繰り返す運動イメージが、パフォーマンス向上に役立つことは研究でも示されていますが、最初からくっきり浮かぶ人はまれです。「うまくできない自分はダメだ」と焦らず、まずは続けることが大切です。
※出典:Best practice for motor imagery: a systematic literature review (PMC)
うまくできない時のコツ
1. 実際の映像を先に見る
映像が浮かばないなら、自分のプレー動画やお手本の映像を見てからイメージしましょう。記憶の「素材」が増えると、格段に描きやすくなります。
2. 五感を一つずつ足す
いきなり全部を鮮明にしようとせず、まず映像、次に音、次に体の感覚と一つずつ加えていきます。特に「体を動かす感覚」を思い出すのがコツです。
3. 得意な場面・成功体験から始める
うまくいったプレーや好きな場面なら、感覚を思い出しやすいもの。成功体験のある場面から練習を始めましょう。
4. 短く区切る
集中が続かないなら、長くやろうとしないこと。ワンプレー・20〜30秒から。短くても毎日続けるほうが効果的です。
5. リラックスしてから行う
緊張した状態では、イメージは浮かびにくいもの。数回深呼吸して落ち着いてから始めると、映像が描きやすくなります。寝る前のリラックスした時間もおすすめです。
「効果を感じない」時に見直すこと
効果を感じられない時は、次の点を見直してみましょう。「うまくいく場面」を描けているか(失敗のイメージばかりだと逆効果)、実際の練習と組み合わせているか(イメトレは練習の代わりではなく補強)、短くても毎日続いているか。効果は、正しいやり方を積み重ねた先に、じわじわ現れます。すぐに結果が出なくても、焦らず続けてください。
💡 ワンポイント
イメージトレーニングは、筋トレと同じで「反復」が力になります。最初は映像がぼやけても、続けるうちに必ず鮮明になっていきます。うまくできない今の段階も、上達の途中。「昨日より少し描けた」を積み重ねていきましょう。
自分の「イメージのタイプ」を知る
イメージの得意な感覚は人によって違います。自分に合う入り口を見つけましょう。
映像が浮かびやすい人(視覚型)
頭の中に映像を描くのが得意なタイプ。まず映像を鮮明にし、そこに音や感覚を足していくと深まります。
体の感覚が得意な人(体感型)
映像は苦手でも、「体を動かす感覚」を思い出すのは得意な人もいます。実際に少し体を動かしながらイメージすると効果的です。
言葉で考えるのが得意な人
映像より、「まず右足を出して、次に…」と言葉で手順をなぞるほうがやりやすい人もいます。自分に合う方法で大丈夫です。
イメトレを習慣にするコツ
効果を出すには継続が欠かせません。「寝る前の3分」「練習前のアップ中」など、すでにある習慣にくっつけると続けやすくなります。うまく描けない日があっても気にせず、まずは「毎日やる」ことを目標に。歯磨きのように生活の一部にしてしまえば、いつの間にか鮮明にイメージできるようになっています。焦らず、小さく続けることが上達への近道です。
それでも描けない時は無理をしない
いろいろ試してもイメージが浮かびにくい人もいます。それは、感覚の個人差であって、才能がないわけではありません。無理に鮮明な映像を作ろうと力むと、かえって浮かばなくなります。ぼんやりした感覚でも十分と考え、力を抜いて取り組みましょう。また、イメージトレーニングはあくまで実際の練習の補強です。イメトレがうまくできなくても、体を動かす練習を積めば力はつきます。自分に合うやり方で、できる範囲で取り入れれば十分です。
30秒でできるイメトレ手順チェックリスト
本格的に時間を取らなくても、短い時間で効果を積み重ねられます。次の手順を、練習前や隙間時間に試してみてください。
【準備・0〜5秒】
- 軽く目を閉じ、肩の力を抜く
- 深呼吸を1回して呼吸を整える
【場面設定・5〜10秒】
- うまくいった場面・得意な場面を1つ選ぶ
- 「いつ・どこで」の状況を思い浮かべる
【再生・10〜25秒】
- 映像を思い浮かべる(ぼんやりでよい)
- 音や体の感覚を1つ足してみる
- 実際に動く速さで、頭の中を再生する
【締めくくり・25〜30秒】
- うまくいった瞬間で映像を止める
- ゆっくり目を開けて終える
まとめ
- 鮮明なイメージは練習で描けるようになる。最初は誰でもぼやける
- 実際の映像を先に見て、五感を一つずつ足す
- 得意な場面から、短く、リラックスして始める
- 「成功の場面か」「実練習と組み合わせているか」「毎日続いているか」を見直す
今日は、お手本の映像を見てから、その動きを頭の中で一度再生してみてください。

