春高(全日本バレーボール高等学校選手権大会)は、本大会が1月、都道府県予選が10月中旬から11月中旬ごろに行われるのが一般的です(日程は県により異なります)。負ければそこで終わりの予選を前に、「3年生の最後の大会になるかもしれない」「初戦から強い相手と聞いた」と、胸がざわつく選手は少なくありません。
この記事では、春高予選で空回りしやすい3つのパターンと分かれ道、立場別の向き合い方、前日・当日のチェックリストを整理します。場面別の基本はバレーボールのメンタルトレーニング、一発勝負全般の考え方は一発勝負で力を出すメンタルも参考になります。
春高予選で空回りする3つのパターンと分かれ道
予選で力を出せるかどうかは、実力差だけでなく、重圧への反応で分かれます。よく見られるパターンを3つ挙げます。
パターン1:「最後の大会」を意識しすぎて体が硬くなる
3年生を中心に、「これで終わりかもしれない」という思いが強まり、サーブもスパイクも慎重になりすぎる人がいます。「最後」という言葉が、1本ごとの重みを実際以上に大きくしてしまうためです。分かれ道は「最後」ではなく「次の1点で何をするか」に言葉を置き換えること。「レシーブは最初の一歩を速く」のように動作の言葉にすると、意識が今に戻ります。
パターン2:相手校の評判に飲まれる、または見下してしまう
対戦表が決まると、相手の評判や過去の戦績が気になる人がいます。格上と聞けば腰が引け、格下と聞けば「勝って当たり前」と気が緩み、どちらも立ち上がりの硬さにつながります。分かれ道は「相手の看板ではなく、自分たちの約束事を数える」こと。サーブで狙う場所、守備の連携、声かけなど、自分たちで決めた準備に意識を向けましょう。
パターン3:直前期に調子の良し悪しを確かめ続ける
大会が近づくと、練習での1本のミスを「本番でも出るのでは」と心配し、調子の確認を繰り返す人もいます。確かめるたびに不安が増え、練習に集中できなくなります。分かれ道は「直前期は確認ではなく、いつもの手順を繰り返す」こと。新しいことを足さず、普段のルーティンを守るほうが安定します。過ごし方は大会1週間前の過ごし方でも扱っています。
立場別・予選期の向き合い方
3年生
引退がかかる分、周囲の期待や「悔いを残したくない」という思いが強くなります。結果ではなく、やり切る内容を一つ決めることが支えになります。後輩に見せたいのは完璧な背中より、落ち着いた声かけです。
1・2年生のレギュラー
先輩の最後の大会を背負っていると感じ、プレーが縮こまることがあります。背負うのは勝敗ではなく、自分の役割です。自分の仕事を果たすことが、先輩への一番の貢献だと捉え直してみましょう。
ベンチ・応援の選手
出番が来るか分からない緊張もあります。出る場合に備えて、最初の1本で何をするかだけを決めておくと、急な起用でも落ち着きやすくなります。コートの外から声を出すことも、流れをつくる大切な仕事です。
予選前のチェックリスト
やることを時系列で整理しておくと、「準備はできた」という安心が緊張をやわらげます。
【1週間前〜前々日】
- 練習メニューと生活リズムをいつも通りに保つ
- 不安に思うことを紙に書き出して整理する
- 練習のたびに「今日やること」を一つ決める
【前日】
- ユニフォーム・シューズ・飲み物など持ち物を確認する
- 初戦の最初の数点で意識することを一つ決める
- 早めに就寝し、睡眠を確保する
【当日・試合前】
- ウォームアップはいつもの手順を保つ
- 深呼吸をして肩の力を一度抜く
- 「やることは決めた」と確認し、声を出して緊張を共有する
不安を書き出す方法は、試験の直前に不安を書き出した学生の成績が上がったという研究があり、試合前の不安の整理にも応用しやすい考え方です。
正確な日程や形式は、各都道府県のバレーボール協会や高校体育連盟の発表で確認してください。
※不安で眠れない、食欲が落ちるといった状態が2週間以上続く場合は、気持ちの問題と決めつけず、顧問や保護者、医療機関に相談してください。窓口はこころの耳「相談窓口案内」から探せます。
まとめ
- 「最後」という言葉を、次の1点の動作の言葉に置き換える
- 相手の看板ではなく、自分たちの約束事を数える
- 直前期は確認より、いつもの手順の繰り返しを優先する
- 立場ごとに、自分の役割を一つに絞ると落ち着きやすい
予選は、結果が見えない緊張の中で行われます。結果ではなく、コートでやることを一つずつ積み重ねていきましょう。
